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名古屋で家を買うとき、不動産屋に「このあたりは静かですよ」と言われました。実際に静かです。ただ、それが安全という意味なのかは分かりませんでした。
以前、ホームセキュリティ関連の業者に勤めていました。だからこそ、どの家にも必要だとは言いません。
愛知県警のデータを署ごとに数えて、はっきりしたことがあります。侵入の件数が多い区と、住宅が狙われている区は、別でした。件数だけを見ると判断を誤ります。
この記事では、県警の署別データと、防犯システムの公式料金を並べます。市内の拠点と、補助金の実情も載せました。読み終えると、自分の区がどちらなのかが分かります。
結論を先に言います。静かな住宅街ほど、住宅が狙われる割合は高くなっています。
Contents
件数が多い区は、住宅が危ない区ではありません
まず、都合の悪い事実から書きます。名古屋市で侵入の件数が最も多いのは、住宅街ではありません。
愛知県警は侵入盗を「総数」と「住宅対象」に分けて公表しています。この2つを並べると、区ごとの性格が見えてきます。
| 署(区) | 侵入盗 総数 |
うち住宅 |
|---|---|---|
| 中(中区) | 79件 | 26件(33%) |
| 緑(緑区) | 74件 | 20件(27%) |
| 守山(守山区) | 46件 | 25件(54%) |
| 天白(天白区) | 43件 | 29件(67%) |
中区は79件で市内最多です。ところが住宅が狙われたのは26件、33%しかありません。繁華街なので、事務所や店舗への侵入が多くを占めます。
いっぽう天白区は総数43件と少なめですが、そのうち29件が住宅です。割合は67%になります。
住宅が狙われる割合で並べ直すと、順番が変わる
上位に来るのは千種区、天白区、名東区、守山区です。市の東部にある、いわゆる住宅地が並びます。
逆に熱田区は13%で最も低くなっています。侵入盗15件のうち、住宅は2件だけでした。
- 住宅の割合が高い/千種67%、天白67%、瑞穂67%、名東61%、東60%
- 住宅の割合が低い/熱田13%、緑27%、西30%、中33%
- 件数が多い中区と緑区は、どちらも住宅の割合が低い
名古屋市の犯罪の中身は、自転車です
ここも正直に書きます。名古屋市で起きている盗みは、圧倒的に自転車です。
| 手口 | 件数 | 住宅侵入との比 |
|---|---|---|
| 自転車盗 | 3,701件 | 15.0倍 |
| 部品ねらい | 414件 | 1.7倍 |
| 車上ねらい | 300件 | 1.2倍 |
| 住宅への侵入 | 247件 | — |
名古屋市の住宅侵入は247件です。自転車盗はその15倍にあたる3,701件でした。
この数字を見て「うちには要らない」と考えるのは、自然な判断だと思います。私もそう思います。
ただし失うものの重さは違います。自転車を盗まれるのと、寝室に他人が入ってくるのとでは、話が別です。警備会社に月8,668円を払っても、自転車は守れません。
県全体では、住宅侵入は減っています
| 項目 | 令和7年 1〜7月 |
令和8年 1〜7月 |
|---|---|---|
| 侵入盗 総数 | 2,025件 | 1,790件 |
| うち住宅対象 | 794件 | 756件 |
| 自転車盗 | 7,112件 | 7,931件 |
愛知県全体の住宅侵入は794件から756件へ、38件減りました。減っているのに自転車盗だけが819件増えています。
名古屋市はこのうち247件、県全体の33%を占めています。人口を考えれば、極端に多くはありません。
アルソックの料金は、3つのプランのどれを選ぶかで決まる
ここからは、実際の費用を見ていきます。一軒家(戸建て)向けの「HOME ALSOK Connect」は、支払い方が3つに分かれます。守ってもらえる中身は、3つとも同じです。違うのは、機器代と工事費をいつ払うかだけです。
| プラン | 月額 | 初期費用 |
|---|---|---|
| お買い上げ | 4,070円 | 272,250円 |
| レンタル | 7,865円 | 47,850円 |
| ゼロスタート | 8,668円 | 0円 |
すべて税込です。センサーが異常を検知しての駆けつけは無償と明記されています。自分から依頼する場合は、1回7,700円です。
5年ならほぼ同額。10年で28万円ひらく
| プラン | 5年総額 | 10年総額 |
|---|---|---|
| お買い上げ | 516,450円 | 760,650円 |
| レンタル | 519,750円 | 991,650円 |
| ゼロスタート | 520,080円 | 1,040,160円 |
5年では、3つの差は3,630円しかありません。これは偶然ではありません。
- 月額の差/8,668円 − 4,070円 = 4,598円
- それが5年ぶん/4,598円 × 60か月 = 275,880円
- 初期費用の差/272,250円
ちょうど5年で元が取れるように値段が組まれています。6年目からは、機器代を払い終えた人だけが安くなります。
判断の分かれ目は金額ではありません。その家に何年住むつもりか、それだけです。
名古屋市内に、アルソックの拠点はいくつあるか
公式サイトの事業所一覧から数えました。名古屋はほぼ互角でした。
| 会社 | 愛知県内 | 名古屋市内 |
|---|---|---|
| アルソック | 32か所 | 11か所 |
| セコム | 30か所 | 12か所 |
県内ではアルソックがやや多く、市内ではセコムが1か所多い、という結果です。数では決め手になりません。
ただし、この数字の読み方には注意が要ります。
- 事業所(営業所・支社)/契約や相談の窓口。場所は公開されている
- 緊急発進拠点/警備員が待機し、実際に駆けつける場所。両社とも非公開
数えたのは前者です。事業所の数が、そのまま到着時間になるわけではありません。
アルソックの名古屋市内11拠点
- 都心部/名古屋支社、名古屋支店、名古屋営業所、名古屋駅前営業所、栄営業所、金山営業所
- 東部/星ヶ丘営業所(千種区)、御器所営業所(昭和区)、天白営業所
- 北部・西部/大曽根営業所(北区)、中川営業所
住宅の割合が高かった千種区と天白区には、それぞれ営業所があります。名東区と守山区に専用の営業所はなく、星ヶ丘営業所や大曽根営業所がカバーする範囲になります。
それでも、実際の到着時間は住所ごとに違います。見積もりのときに必ず聞いてください。
出典:ALSOK 愛知県の事業所一覧/セコム 愛知県の事業所
実家の親だけを見守るなら、月3,069円から
親の心配と、家の防犯は別ものです。目的が見守りだけなら、戸建て向けのプランは要りません。
| プラン | 月額 | 初期費用 |
|---|---|---|
| お買い上げ | 1,870円 | 70,565円 |
| レンタル | 2,838円 | 13,365円 |
| ゼロスタート | 3,069円 | 0円 |
体調が悪いときに緊急ボタンを押すと、警備員が駆けつけます。登録した持病やかかりつけ医を、救急隊員に伝える仕組みです。
安いほうで足りるのか、その線引き
| できること | みまもり 3,069円 |
Connect 8,668円 |
|---|---|---|
| 本人がボタンを押す | ○ | ○ |
| 持病を救急隊に伝える | ○ | ○ |
| 侵入を自動で検知 | × | ○ |
| 留守中に守る | × | ○ |
| 火災を監視 | × | ○ |
大きな違いは、真ん中の2行です。みまもりサポートは、親が自分でボタンを押せる状態でないと動きません。
実家が千種区や天白区にある場合、住宅が狙われる割合は市内で最も高い地域です。目的が見守りだけなのか、留守中の備えも要るのか。そこで分かれます。
契約の前に、確かめておきたいお金のこと
新しく払う前に、すでに持っているものを確認してください。
1. 名古屋市の補助金は、個人の住宅には使えません
ここも正直に書きます。名古屋市には防犯カメラの補助金があります。補助率は3分の2以内、1台あたり上限14万円と手厚い制度です。
ただし公式ページに「個人での設置は対象外です」と明記されています。対象は学区連絡協議会や町内会など、日頃から防犯活動を行っている団体だけです。
- 撮影対象は公道や、公道に面した公園などの公共空間
- 撮影範囲に住宅が入る場合は、事前の説明と同意が必要
- 申請は4月から翌年1月末まで(予算に達し次第終了)
自宅の玄関を写すカメラは、この条件に当てはまりません。町内会の集まりで話題に出す価値はありますが、個人で申請することはできない仕組みです。
2. 火災保険に、家財の契約が付いているか
盗まれた家財は、火災保険で補償されることがあります。ただし条件があります。日本損害保険協会は、建物と家財はそれぞれ契約が必要だと説明しています。
保険証券を出して、家財の欄に金額が入っているか見てください。入っていれば、あなたはすでにその備えを持っています。
そもそも、月8,668円を払う価値があるのか
お金を払う価値があるのは、確率は低いのに、起きたら取り返しがつかないものだけです。逆に、貯金でなんとかなる損失は、自分で持った方が安く済みます。
| リスク | 確率 | 損失の大きさ |
|---|---|---|
| 自転車を盗まれる | 高い | 数万円まで |
| 留守中の空き巣 | 低い | 家財の範囲 |
| 在宅中の侵入 | 低い | 命に関わる |
名古屋市でいちばん起きやすいのは自転車盗です。ただし失うのは数万円で、貯金でなんとかなります。
逆に、家に人がいるときに入られることと、親が倒れて誰も気づかないこと。この2つは、お金では戻せません。
自転車が心配なら、防犯登録と二重ロックのほうが効きます。空き巣だけが心配なら、補助錠と窓フィルムで足りる可能性があります。
資料請求までの手順
迷ったまま止まってしまうのが、いちばんもったいない状態です。次の3つだけで足ります。
- 保険証券を1枚探す/家財の欄に金額があるか見る。5分で終わります。
- 自分の区を確認する/千種・天白・瑞穂・名東・守山なら、住宅が狙われる割合が高い地域です。
- 見積もりで到着時間を聞く/「うちに何分で着きますか」と1問だけ聞く。
3つ目が、この記事でいちばん大事なところです。拠点の数は公開されていても、到着時間は住所ごとに違います。数字を聞いてから決めても、遅くはありません。
よくある疑問に、先に答えておく
中区は件数が多いのに、危なくないのですか
侵入盗の件数は79件で市内最多です。ただし住宅が狙われたのは26件、33%でした。繁華街なので事務所や店舗への侵入が多くを占めます。住宅に限れば、天白区の29件のほうが多くなっています。
マンションでも契約できますか
アパート・マンションプランがあります。ゼロスタートで月6,754円、初期費用0円です。ただし工事を伴うため、管理会社への確認が先になります。
セコムではなくアルソックを選ぶ理由は?
名古屋市内の拠点数はアルソック11に対しセコム12で、ほぼ互角です。県内で見ればアルソック32、セコム30でわずかに上回ります。数では決め手になりません。料金面では、初期費用0円のゼロスタートから始められる点が違います。
駆けつけに追加料金はかかりますか
センサーが異常を検知しての駆けつけは無償です。自分から依頼して来てもらう場合は、1回7,700円かかります。
まとめ
要点だけ並べておきます。
- 件数が多い区と、住宅が狙われる区は別。中区は79件でも住宅は33%
- 千種・天白・瑞穂は67%が住宅。市の東部ほど割合が高い
- 自転車盗は住宅侵入の15倍。ただし警備会社では守れない
- 3プランは5年ならほぼ同額。10年で279,510円ひらく
- 名古屋市の補助金は個人宅には使えない。火災保険の家財欄を確認する
すでに持っている備えを使わないままなのが、いちばん惜しいことだと思います。
そのうえで必要かどうかは、あなたの家の事情でしか決まりません。まずは「うちに何分で着きますか」と、そこだけ聞いてみれば十分だと思います。